世界ではチップの習慣が国によって大きく異なるため、いつ、いくら渡すべきか迷ってしまうことも多いでしょう。
現地のルールを理解することは、失礼な印象を与えたり、マナー違反をしたり、逆にあげすぎてしまうのを避けるために重要です。
この記事では、イタリアにおけるチップの習慣について解説します。ホテルやレストランなど、チップを渡すべき具体的な状況を説明します。
この記事が、イタリア旅行をより良く、より現地の人々に受け入れられるものにするための一助となれば幸いです。
イタリアではチップは必要?
チップは必須ではなく、日常的な場面ではほとんど期待されません。 イタリアでのチップの習慣は、一般的によくチップを渡す国とは大きく異なります。観光地ではない場所では、チップは一般的ではありません。
イタリア人は、請求書に含まれるサービス料を重視する傾向があります。 イタリアでは、請求書に「コペルト」または「セルヴィツィオ」と記載されていることがあります。これらはパン代やサービス料として請求されるもので、チップは必須ではありません。
イタリア人は通常、控えめにチップを渡します。請求額を少し切り上げたり、小銭を置いていく程度です。 イタリア人がチップを渡すとしても、高額になることは稀です。イタリアでは、チップはお金よりも礼儀作法と考える人が多いでしょう。
チップを渡すべき時
1. レストランやカフェでのチップ
レストランで食事をする場合
ただし、レストランで食事やサービスが非常に満足できた場合は、請求書に「servizio」と記載されていない限り、5〜10%程度のチップを渡すと良いでしょう。
請求書に「servizio」と書かれている場合はチップは必須ではありませんが、端数を切り上げて少額を置くのは常に問題ありません。
ピッツェリアなどのカジュアルなお店
ピッツェリアやカジュアルなレストランでは、お会計の際に端数を切り上げたり、小銭を少し置いていく人もいます。これは、感謝の気持ちを表すちょっとした習慣です。
バーやコーヒーショップ
バーやカフェのカウンターで注文する場合は、基本的にチップは不要です。テーブル席でサービスを受けた場合は、気持ちとして、0.50〜1ユーロ程度を置いていくと良いでしょう。
2. ホテルでのチップ
ベルボーイ
ベルボーイに荷物を運んでもらった場合は、感謝の気持ちとして、スーツケース1つにつき1〜2ユーロを目安にチップを渡しましょう。
ハウスキーピング
ハウスキーピングには、1日あたり1〜2ユーロ程度のチップを渡すのが一般的です。ベッドサイドテーブルや机の上に置いておくと、スタッフの助けになるでしょう。
コンシェルジュ
コンシェルジュへのチップは必須ではありませんが、人気の観光スポットの予約手配や特別な手配など、期待以上のサービスをしてくれた場合は、感謝の気持ちとして5〜10ユーロ以上のチップを渡すと良いでしょう。
3. タクシー運転手やライドシェアサービスへのチップ
タクシー
イタリアでは、タクシー運転手にチップを渡す習慣は基本的にありません。良いサービスを受けた場合に、料金を少し切り上げたり、1〜2ユーロ程度のチップを渡す人がいます(荷物の手伝いや効率的なルートでの送迎など)。
Uberやライドシェアサービス
Uberなどのアプリは、ローマやミラノなどの主要都市でのみ利用可能です。アプリを通じてチップを支払う習慣は一般的ではありませんが、非常に良いサービスを受けた場合は、支払うことも可能です。
4. ツアーガイドやプライベートドライバーへのチップ
ガイド付きツアー
ガイド付きツアーでは、グループツアーの場合は1人あたり5〜10ユーロ程度、プライベートツアーや1日ツアーの場合はそれ以上のチップを渡すと良いでしょう。チップは必須ではありませんが、特にガイドの対応が良かった場合は喜ばれます。
プライベート送迎
プライベート送迎サービスを利用した場合、長距離移動であったり、サービスが非常に優れていた場合は、1人あたり1〜2ユーロ程度のチップを渡すことをおすすめします。
5. サロン、スパなどのサービスでのチップ
美容師
美容院では、ヘアカットやトリートメントに満足した場合、料金の5〜10%程度のチップを渡すのがスマートです。これは、時間と労力をかけてくれたことへの感謝の気持ちを表す良い方法です。
スパトリートメント
スパサービスでは、5〜10ユーロ程度のチップを渡すことで、サービスへの満足度を示すことができます。もちろん、チップを渡すかどうかは個人の判断によります。
チップが不要な場合
1. ファストフード、テイクアウトカウンター、パン屋
ファストフード店やテイクアウトショップ、パン屋などでは、チップは基本的に不要です。これらのお店では独自のシステムがあり、お客様自身でサービスを受けることが多いためです。
2. servizio が含まれている場合
請求書に「servizio」と記載されたサービス料が含まれている場合、追加でチップを支払う必要はありません。「servizio」はサービスに対する料金なので、チップを追加するとかえって不自然に思われることがあります。
イタリアでは、過度なチップはかえってぎこちなく、不誠実な印象を与えることさえあります。適切な額のチップと感謝の気持ちを伝えることが大切です。
地域による違いと現地の習慣
ローマ、フィレンツェ、ベネチアのような観光地ではチップを渡す機会が多いですが、数ユーロ程度か、あるいは支払いの際に端数を切り上げる程度でしょう。
これらの主要観光地では旅行者が多いため、チップに関するルールも比較的寛容です。
イタリアの小さな都市や、美しい南部地方を訪れると状況は変わります。
地元の人にいたっては、都市部に住むイタリア人よりもチップを渡さないことさえあります。ここでは、おもてなしを重視する文化が根強いため、チップを渡す習慣があまりありません。
イタリアのどこを訪れる場合でも、支払いをする前に請求書をよく確認しましょう。すでにサービス料が含まれている場合もあるので、二重に支払うことのないようにしましょう。確認を怠らないことで、その場にふさわしい行動ができ、誤解を避けることができます。
イタリアにおけるチップの習慣
イタリアでチップを渡す場合、ほとんどは少額の現金を用意するのが一般的です。メインの支払いをカードでする場合でも同様です。カード決済端末にはチップ機能がない場合があり、計算が面倒になることがあるからです。
あるいは、サービスをしてくれた人に、チップとして渡したい金額を直接渡すことも可能です。感謝の気持ちを表す簡単な方法です。
結論
イタリアでのチップは、厳格な規則というよりは、常識と敬意が重要です。基本的にチップは不要ですが、渡す場合でも少額で十分です。
チップを渡すタイミングと金額を知っていれば、旅行がより快適になり、無理なく感謝の気持ちを示せます。レストラン、ホテル、タクシーでは、現地の習慣を理解して、スマートに過ごしましょう。